塩川:そこから10年の間、阪神大震災があり、リーマン・ショックもあり、現在、京都は一変してインバウンド大国になりましたね。
畑中:海外からのお客様はあと4年で倍増し、2030年には3倍になるといわれています。日本人のレジャーに対する支出、特に宿泊に対する支出はどんどん減っていますので、「今やらなければ」と感じますね。
塩川:海外のお客様が注目されている施設ということで、日本人の方もあらためてその魅力に気づくということもあると思います。「祇園畑中」では海外のお客様を意識した取り組みはされていらっしゃいますか?
畑中:舞妓さんのディナーショーは今後も続けていきたいと思っています。この辺りでも時代の流れやニーズについていけなかった料理屋が次々と閉店していまして、特に海外からのお客様の需要を取り込めるかどうかというところで明暗が分かれてしまっています。10年、15年前にインターネットに興味を示さなかったところがなくなっていったのと同じです。これからも海外からのお客様が増えることを見越して設備投資や方向転換をしているところは残っていくでしょう。
塩川:日本らしさを残しながら、その時代のニーズに合わせて新しい取り組みをしていかなければいけませんね。最近、若者や海外からのお客様向けのゲストハウスもはじめられたと伺いました。旅館とは違うかたちの挑戦の理由はどこにあるのでしょうか。
畑中:特に、東南アジアは経済成長が著しくビザも緩和されたため、これから東南アジアの若者がどんどん日本を訪れるでしょう。日本には他の国にない伝統や文化が継承されて残っているというのは魅力です。「祇園畑中」の近くには高台寺や清水寺があります。子どもの頃には毎日のように遊びに行っていたのですが、歳を追うごとにこんなにすごい場所が京都には残っているのだと、本当に嬉しい気持ちになりますね。それを、東南アジアの若者にも見てほしいのです。京都は100年以上の歴史を持つ店が全国で1番多いのです。一方で、私も自分でも何かやらなければと思っておりますので、ゲストハウスなども展開しながらも京都らしさを守っていきたいですね。
塩川:今後、女将を務めるお嬢様が「祇園畑中」を守り、継承していくことになりますが、伝えたいメッセージはありますか?
畑中:自分がやりたいことをやって欲しいと思っています。旅館へ入った当初は古い仲居さんについて仕事を教えてもらっておりましたが、女将の経営者らしい発想が受け入れられるようになり、女将という肩書も板についてきたなと感じています。
——後編では、畑中さんのお嬢様でもある、祇園畑中の女将にお話を伺います。
写真:木村 正史 / 文:宮本 とも子
祇園畑中 主人
畑中 誠司
京都府生まれ。大学卒業後、旅行会社に2年間勤務。その後、24歳のとき家業として「祇園畑中」を継ぎ、主人を務める。
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