Welcome to Relux

お客様とともに日本の文化を守る宿でありたい

落合楼村上

塩川:ここまでは過去、現在とお話を伺いましたが、ここからは将来の展望をお聞かせいただけますか?

村上:1人でも多くの方々に「落合楼村上」を知っていただくために、宿泊以外でもご利用いただける伊豆の食材に拘った一汁三菜ランチの提供を始めました。現在客室は15室(内エステルームが1室)しかないのですが、「落合楼村上」には宴会場が大中小合わせて10ヶ所もあります。その空間を活かして、お客様に足を運んでいただく。それがショールームの役目だと考えています。そのために、「能を愉しむ会(毎回能の1作品をテーマに楽しみ方を紹介する会)」、「落合楼寄席(伝統的な日本の話芸である落語の会)」、「和の音(歌舞伎の黒御簾音楽の鑑賞会)」、「和の宴(芸者遊びや和太鼓の演奏などを中心にした夕食会)」等々、みなさんに集まっていただくイベントを毎年継続して開催しております。また、陶器・漆器の知識・お茶や着物・お香の勉強など、スタッフの人財育成の一環として社内で開催していた研修会をお客様にも公開し、参加募集をする落合楼カルチャーサークルも今後予定しております。

塩川:「落合楼村上」の強みを活かした展開として、他にはどのようなことをお考えですか?

落合楼村上落合楼村上

村上:落合楼村上には「晴れの日」にご利用なさるご家族やカップルが多くいらっしゃいます。そこで、お客様毎の「晴れの日」を演出が出来る宿を目指していきたいと考えています。「晴れの日」の典型はブライダルですが、「和婚」というのは今注目を集めているようですし、酒宴の婚礼後に帰りを気にせずお泊まりができる場所というのは意外と少ないそうです。「温泉旅館で結婚披露宴」、我々はこれを「温婚」と呼んでいます。また、もう1つの「晴れの日」は、還暦・古稀・喜寿・傘寿などの賀寿や銀婚式・金婚式等の人生節目のお祝い事です。これを「温寿」と呼んでいます。文化財に登録されている108帖の大宴会場「紫檀の間」で「晴れの日」の宴を演出する際には、女将と専任スタッフが、ホスト役のお客様のお気持ちをゲストの方々へ最大限お伝えできるようにお手伝いをいたします。

塩川:先ほど地域のショールームでありたいというお話がありましたが、「落合楼村上」で続けられている館内ツアー(文化財見学ツアー)もその一環なのでしょうか。

村上:旅館はショールームであるという考え方は、実はお客様から勉強させていただいたことでもあります。建築の専門知識のあるお客様が、館内に施されている細工を私たちに解説してくださったのです。「これが落合楼の特徴なのだから、これをお客様に伝えていかなければならない」ということから始めたのが文化財見学ツアーです。

塩川:Reluxの宿泊レビューでも、文化財見学ツアーが一番楽しかったというお声がたくさんあります。

村上:その文化財見学ツアーで、必ずお客様から漏れ出てくる言葉が2つあります。1つは「お掃除が大変ね」、もう1つは「建物の維持管理が大変ね」です。それには「お察しの通りです」とお答えしております。続けて「国の文化財に登録されているとは言いましても、国や自治体から維持管理費の助成は一切ありません。」と付け加え、さらに「この歪んだガラス1枚・柱1本・組子細工のそれぞれは、ご利用いただきました皆様のおかげで守られております。」とお伝えしております。そして最後に「全国にあります国登録有形文化財の数は昨年1万軒を超えました。その全てが維持管理に苦労をされていることと思います。1軒でも多くの文化財に足を運んでいただく事こそが、その場所を守る事に繋がり、さらには日本の文化を守ることに繋がることを知っていただきたいと願っております。」と締めくくります。

塩川:過去のご苦労を乗り越え、地域のショールームとして文化財の宿を守り続ける村上社長の意気込みが伝わりました。本日は、ありがとうございました。

落合楼村上

写真:田中 和広 / 文:宮本 とも子

落合楼村上 主人 村上昇男

落合楼村上 主人

村上昇男

1964年、静岡県出身。大学卒業後、電機系の会社へ入社。1992年に伊東温泉の旅館を受け継いだのち、1998年にフリーランスに転向し、パソコントレーニングの講師や職業訓練校の講師を務める。その後、2002年に「落合楼村上」を開業し現在に至る。